Prologue
プロローグ
「お互いへの感謝の気持ち」をテーマ(コンセプト)にして間取りのプランニングのご提案することが今回のミッション。実はこのテーマは最初からご夫婦の頭の中に合ったわけではありませんでした。
これからの人生を楽しむための住まいづくりにすずくりがチームで携わることになり、初めて見えてきたことがありました。古民家をリフォームして新しい生活を始められるご夫婦の物語が始まります。
700坪という広大な敷地にある古民家を再生して新しい暮らしを始めるご夫婦の住まいづくりのプロジェクトに間取りの提案を行うためチームとして参加することになりました。
場所は千葉県の外房総にある海辺の街、鴨川。アクアライン開通のおかげで都内からも1時間ほどでアクセスできる場所。そんな利便性もあってか昨今、都内からの移住者が増加傾向にあって注目されています。
少し車を走らせると、鴨川シーワールドや毎月1回新月の日にOPENするオーガニック・マーケット&カフェがあります。また、約7000坪ある一山を買い上げ、東京工業大学と共に「小さな地球プロジェクト」という壮大な企画を立ち上げる会社があるなど、とても興味深い場所です。
地域コミュニティとともに、「豊かな自然と今あるものを生かしながら環境が育まれている」そんな壮大なスケールを感じられるとても素敵な地域です。
HEARING
LDNメソッド®で深層をヒアリング
新天地で人生を過ごしていくことを決められたH様ご夫婦。これからこの土地でどんな暮らしを思い描いているのでしょうか。
まずは、お二人の目指す理想をヒアリングするところからスタート。お住まいで大切にしたい想いを伺った後、空間デザイン心理学®のヒアリング法「LDNメソッド®」を使って深層ニーズを探っていきます。
「この方法は、ご夫婦の場合は別々にお話しをお伺いすることにしています。もともと自然な会話の中でお話しするようにお聞きしていくのですが、相手のお顔が見えないことでお互いに普段思っていても言えないことや本音が出てくることも。このプロセスを通じて自分や相手の想いにも気がつくことができるので、ご夫婦別々にヒアリングすることはとっても大切なポイントなのです。」(鈴木)
お二人からあふれ出したお住まいや暮らし方に対する想い。LDNメソッド®を使うと、このように頭と心の中をしっかりと視覚化することができます。実際にご自身でも思ってもいなかったことが導き出されたり、言語化することで、なんとなく思っていたことがくっきりと見えるようになったりします。
頭の中を見透かされてしまう感じもしますが、この深層ニーズがこれからの暮らしやすい住まいに大きく反映されていくのですからとても大切なことですね。
「この結果をもとにチームでリノベーション案(間取り)を構築していきました。私は「住空間収納プランナー」でもあるので、H様ご夫婦のそれぞれの持ち物の量とその使い勝手も検証しながら具体的な数値でヒアリングして、プランニングに反映していきました。」(鈴木)
PLANNING
深層ニーズを読み解きプランニング
「豊かな自然の恵と人とのつながり、お互いを尊重し、感謝と安心を感じる住まい」
<プランニングキーワード>
- 循環型へのシフト
- 仲間が集う
- 健康でいられる
- 夫婦お互いが感謝の気持ちでいられる
- 元の家を活かす(無駄にしない)
- ものづくり
- 新しいことへのチャレンジ
深層ニーズをヒアリングすることで、ご夫婦がどのような暮らし方への想いを持っていらっしゃるかを把握することができました。「食を大切にしたい」「仲間が集まる場所にしたい」など共通の具体的なご希望も間取りの提案に反映させます。
ここでは簡単なイメージのご紹介になりますが、実際にはお部屋の間取り図と、それぞれのお部屋ごとのテーマ、デザイン、収納計画、マテリアルなどがプランニングされます。
今回のご依頼内容はここまでのプランのご提案となり、実際に形にしていく工程は建築設計会社様や施工会社様へ引き継ぎ、リフォームへと進みます。
ーお客様の感想ー
「私たちの希望が全て備わったプランです。気持ちのこもったプレゼンをありがとうございました。ほぼ、このまま採用したいと思います。」
持ち物を知り、
暮らしを想像する
持ち物を知り、暮らしを想像する
Epilogue
エピローグ
今回の鴨川プロジェクトは、収納設計を取り入れた間取りのプランニングとしての参加でした。
空間デザイン心理学®プロとしてLDNメソッド®を使ったヒアリング方法は、お客様の深層ニーズを把握することができるので、これまでにご本人さえ気がつかなったような心に秘めている感情や行動パターンなど、より気持ちに寄り添った提案が可能になりました。
今回のN様ご夫婦も個別にヒアリングすることにより、普段は面と向かって言いにくかったお互いへの感謝の気持ちを、深く再認識できたようです。そのニーズを共有した時、現場でみんな涙を流して感動したというエピソードがあるのです。間取りのプランニングながらも、こうして気持ちがクリアになって前向きになっていく過程も一緒に感じることができます。
ご主人様は「奥様が健やかにいることで安心して毎日を過ごすことができる。」奥様も「ご主人が健康でいてくれることに日々感謝している。」という想いをヒアリングシートから読み取ることができました。
長い間一緒にいると、改まって感謝を伝えるのはなんだか照れくさいかもしれません。が、こうして理解し合えて、より信頼関係を深められたということも住まいづくりにとって重要なポイントではないでしょうか。
深層ニーズと収納計画を取り入れた間取りのプランニングは、新築やリフォーム・リノベーション時に、荷物の量に応じた間取りの調整が可能なことはもちろん、普段なかなか人には見せられないような自身の感情を読み解き、そのニーズがプランに反映されていくので、知らないうちに心の整理にもつながっていくようです。
普段は個々に仕事をしているメンバーですが、チームとしてプロジェクトに参加することにより、それぞれの得意分野を担当することができるので、1人では届きにくい様々な想いにも気を配ることができるようになるようです。こうしたチームならではの仕事の進め方もまたインテリアコンサルタントとしての取り組み方のひとつなのかもしれません。